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「わたしを束ねないで」

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わたしを束ねないで
あらせいとうの花のように
白い葱のように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色の稲穂

わたしを止めないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃き
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音

わたしを注がないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮 ふちのない水

わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐りきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風

わたしを区切らないで
コンマやピリオド いくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩

最近出会った新川和江さんの詩です。
この詩を読んだ時、小学生だったころの娘との夏休みの思い出が蘇りました。

朝の6時半からラジオ体操に行き、そのまま9時過ぎまで公園で遊び、朝食を食べ、学校のプールへ。
昼食を食べ、公民館の映画に行ったり、小さい妹弟のいる友達の家に行き、小さなビニールのプールに入れてもらったり、その水着のまま公園の滑り台で遊んでいたり...
「このちゃんが一番真っ黒やねん。」と自慢げに言う娘のかわいい顔。

お盆を過ぎたころから、私は度々娘に「宿題は大丈夫?」と訊きます。
娘は「大丈夫、大丈夫。」と答えるのですが、宿題はほとんど終わっていません。
20日を過ぎても、25日を過ぎても....
28日頃から、ご飯を食べながら、ホロホロと涙がこぼれ落ちるようになります。
そして、私の怒鳴り声の伴奏で宿題をするのです。

あの頃は、宿題をきちんとしない娘に腹が立ってしかたなかったけれど、今となれば楽しい思い出です。
娘は、「わたしを束ねないで」と全身で叫びながら、夏の太陽を浴びていたのかもしれません。

今、娘は予備校に通っています。
娘が人より余分に勉強するなんて、あの頃は想像できませんでした。
年齢とともに、「束ねられる時には、束ねられる。」ようになりました。
これも、成長かな〜と思っています。
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by peace3126 | 2011-08-05 11:37 | 日記(日々更新)