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裸樹

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目の前に見える桜の裸樹がとてもキレイです。
子供の頃、若い頃は花が咲いていない樹に興味を持つことはなかったと思うのですが、最近は葉も花も全く着いていない樹、蕾、花、緑の葉、紅葉、全てをキレイだと感じるようになりました。

とりわけ真冬の裸樹はいつもツマラナイことに振り回されている私に何かを教えてくれます。
朝、起きて、店に下りて来た時、まだ外は真っ暗で車の流れはまばらです。
樹皮には霜が降り凍てつき、優しい水銀灯の光に照らされて、キラキラと輝いています。
何かをジッと堪えて、でも固く強い揺るぎない意志を持っていて。
春の自分の枝に咲かせる花の咲き様を深く深く考えているようです。
僅か一週間足らずの花の時期。この時期に人々をアッと思わせ、グッと引き寄せ、そんな花を咲かせることができるのは、この凍てつく時期があるからではないでしょうか?

私はこの店を始めて12年が経ち、13年目に入りました。
実は年々、仕事が怖くなっています。
お客さまは大半が常連の方で、気心も分かり合え慣れ親しみ、来ていただくと親、兄弟姉妹、友達に近い感覚になり、とてもリラックスし、楽しく関わらせていただいています。
私が怖くなっているのは、「作る」という部分です。珈琲豆の焙煎、食パン。
焙煎機にスイッチを入れる時に怖くて怖くて激しい動悸がします。
前日に捏ねたパン生地を入れている容器の蓋を開ける時もそうです。

焙煎中の豆の焼け方の進み具合、分割して成形を待つ生地の発酵の具合。
さあ、どうもって行こう?どう攻めよう?毎日思い悩みます。
この店で12年、働きに行っている時を入れると19年。年々私にとって「作る」ことは難しくなっていきます。
「逃げたい。やめたい。他の仕事をしたって何とか生きていけるはず。」
頭の隅にそんな言葉が浮かびます。
そんな弱い私をこの仕事から離れさせないのは、この桜の樹の存在です。
優しく温かく励ましてくれる。包んでくれる....なんて、とんでもない!
凍てついた体で冷たく重く「お前は逃げるのか?」「逃げたら楽になれるのか?」そう言い放つだけです。

私の店の前の桜は、私がここに引っ越して来た時はまだ小さく貧弱で、花もあまり着けませんでした。この12年の間に少しずつ着実に大きくなり、姿も整い、花もたくさん着けるようになりました。
観る人を喜ばせようとか、驚かせようとか、自分の方から寄って行くのではなく、媚びるのではなく咲きたいように咲いているように私には思えるのです。

私の桜は今度の春はどんな花を咲かせるでしょうか?
私の店の前の桜が一番キレイです。
朝一番に見る景色の中にこの桜があってよかった。
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by peace3126 | 2016-01-15 12:19 | 日記(日々更新)