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鬼籍に入ったよ。

夏にだけ、珈琲を飲みにきてくれる若い男性のお客さんがいました。
去年の夏が終わる頃、「じゃあ。また来年。」と言って帰って行った彼は、今年の夏は一度も姿を見せてくれませんでした。
シャイな感じで、物静かな彼。何度か来ていただくうちに、仕事の話するようになりました。
彼は庭師でした。仕事は寒い時期に集中し、夏の暑い時期はほとんど無いそうです。
今流行の洋風の庭より、どちらかと言うと和風の庭で、自分の住む平城宮跡近くのお寺の庭の管理手入れを任されたりと云う仕事もしていると話してくれました。
「庭師」というのは、作って終わりと云うモノではなく、年数が経過して、植物が土や周囲の環境に馴染み良い風景を生み出し、また更に良い風景に移り続けられるように、手を添えていくのが仕事だと話して話してくれました。

彼は鎌倉に長く住んでいたことがあり、鎌倉のことも話してくれました。
「鎌倉には、この店のような珈琲屋さんが、いくつもあります。雑多な内容ではなく、一つの商品に特化した個性的な店がたくさんあります。是非、一度行ってみてください。」と。彼が話してくれたお勧めのギャラリーが私の友人が毎年決まって個展をするギャラリーであったことで、話が弾んだこともありました。

昨日、彼と私の共通の知り合いであるお客さんが来てくれました。「最近、K君は来たか?」
「今年の夏は、一度も来てくれませんでした。」
「ここにも、寄らんかったか。彼は向こうに行ったよ。鬼籍に入ったよ。」

彼はいつも、「僕はあんまり珈琲のことは、分からないから。」と、一杯目はメニューを見て、珈琲の銘柄を決め、はちみつレモンのトーストを一緒に注文。二杯目は必ずモカ。
「今日も美味しかったです。ご馳走様でした。」と必ず言ってくれました。
ある時、彼が「僕はあんまり仕事をしたくないんです。」と言ったのは、長年に渡り、手を添えていくことが出来ない庭を、たくさん造ってはならない。と、自分の運命を何となく感じていたからなのかな?と思います。

そのうち私も、そちらに行くでしょう。その時はまた、私の珈琲を飲み、トーストを食べてください。
必ず「前より美味しい!」と言わせてみせます。
K君、心よりご冥福をお祈り申し上げます。






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by peace3126 | 2016-11-25 13:27 | 日記(日々更新)